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夏がきた。
誰も彼も薄着になる、イヤな季節が。
俺の大嫌いな夏が
今年もやってきた…!
☆
☆
1学期、終業式後──
『あ~!やっと夏休み~!嬉しい!ね?』
『……え?お、おぅ。そう…だな。』
夏は嫌いでも夏休みは嬉しい。
……いつもなら。
俺たちの通ってる高校の工業科は
普通科と比べたら
課外授業も格段に短いし
宿題も少ない。
俺は部活もバイトもしてないから
時間たっぷり、自由に遊べる。
でも………
『楽しみだね!女の子たちとプール!』
『え?お…おぅ…そうだな…うん…』
そう、プール…!
なんと、
女子たちにプールに誘われたのだ!
女の子とプール!
女の子の水着、見放題!
これぞ、青春!
テンション マックス!
───に、なると思うだろ?
だけど……俺はそうじゃない。
なぜなら、1つ 問題があるから。
俺は………………
プールが嫌い!なのだ。
だから
わざわざプールのない高校を
調べて選んだのに!
といっても
泳げない訳じゃあない。
じゃあ なんで
プールと海が嫌いなのか?
………そう。
プールも海も悪くない。
ホントに悪いのは………水着の方っ!
水着…
水着になるって事は……
ほぼほぼ裸になるって事………
それは マズい!
非常に マズい!
だって…だって……
俺は…
毛が……
毛が、異常に濃いんだっっ!
もう、それはもう……
モジャモジャと
服で隠れてる部分は
ほぼ毛で覆われている。
当然、足もすごい。
だから夏でも 半パンなんて履かない。
履けない。
こんな毛むくじゃらの姿……
女の子の前に晒せない。
絶対ドン引きされる。絶対だ。
…でもプールには行きたい。
女の子と遊びたい。
水着、見たい。
青春したい。
(だって男の子だもん!)
でも………
毛が…………
『……はあ』
…どうしたもんか。
『??どしたの?豪太(ゴウタ)』
隣を歩くは、
高校から仲良くなった親友.宏海(ヒロミ)….
を チラッと見て タメ息をつく。
コイツ……体毛 薄そう。
いや、薄いな。
コイツに腹毛や胸毛があるなんて
想像つかない。
きっと スベスベ、艶々に違いない。
それに比べて俺は………
『はあ…』
どうしたもんか…
『なに?どしたの?悩み事?』
『……え?あー、うん……。
ちょっとな…毛が…………』
『ケガ?…え?豪太なに?ケガしてんの?
いつ?いつしたの!?
…あ!もしかして プール、行けないの?』
『……え?い、いや!違う違うっっ!
行く!!行けるよっ!』
『なんだぁ……え、じゃあ ケガってなに?』
『え?……いや、あの、えーと…』
「ケガ」じゃなくて「毛が」です…
なんて、言えるか…!!
『や、なんでも………』
『………なに?俺には言えないの…?』
『い、いや……お、俺の問題だから……』
『え~!?なにそれ!!
ひとりで悩んでないで話してよ!
親友でしょ?俺たち!』
『………………ひ、宏海…っ!』
な、なんていいヤツ……!
そうだ!俺たち親友だよな?
話して…みようか……
コイツなら きっと 笑わずに聞いてくれる。
相談にのってくれる…気がする。
そう、それに…
最終的に……
コイツに剃ってもらうって
テも あるじゃないか!
よし!話そう!
『親友!俺んちに来てくれ!』
そうだ、
背中は1人じゃ剃れないしな!
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