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「”(おんな)”って字は、”じょ”って読むと小うるさそうだけど、”にょ”って読むと途端にエロいよね。」 隣で、坂木(さかき)さんが真顔で述べている。 「ちなみに、恩地(おんち)さんは”にょ”のほうね。」 私は、自分に向けられた屈託のない笑顔を、マジマジと見つめたあと、正面に向き直る。 「えー、無視?」 悲し気な声に再び向き直り 「(くだ)らなすぎてコメントしようがありません。」 と答える。 「じゃ、恩地さんが何か話してよ。」 「今は仕事中ですよ。無理して無駄口叩く必要はありません。」 「無理して俺と話してるの?俺との会話は無駄なの?」 また悲し気な声を出され、私は面倒くさいな、と思って聞き流す。
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