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聞こえる…
それぞれの海が奏でる音が私の心を一気に飲み込んでゆく。
そして、私はその海があるであろう世界へと旅立つのだ。
その世界では私は自由だった。
空を自由に飛べるし、海の底だって簡単に行ける。
どこだって自由自在。
何一つとして世界は私を拒まない。
まるで、その世界によって私がつくり出されたかのように、世界は私を優しく包み込む。
世界を隅から隅まで飛び回る。
楽しい…!
まるで心が洗われるようだ。
やがて、妄想という幻の効果が薄れてきた時、ショーウィンドウに映る自分の顔によって現実へと引き戻された。
三つ編みヘアと眼鏡姿、地味で冴えない顔…それが私だ。
なんとも情けなく弱々しい表情でこちらを見ている。
私は自分のこの顔が堪らなく嫌いだ。
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