1.七つの海

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「こんにちは六倉(むつくら)さん…すみません今日も来ちゃいました」 見上げるように目の前にいる人物に謝る。 そう、私は昨日もこの骨董品店を訪れていたのだ。 「構いませんよ。七海(ななみ)さんなら毎日、来て頂いても大歓迎です」 背が高くて細身の六倉さんは笑みを浮かべながら、私に優しい言葉を掛けてくれる。 六倉さんは私よりも歳上で、きっと私の親の方が年齢が近いだろう。 というのはあくまで見た目の話であって、実際に六倉さんに年齢を確認したことはない。 「良かったら、中でコーヒーでもいかがですか?」 六倉さんが店の入り口を手で示しながら私を誘った。 「い、いえ、ただ絵を見に来ただけなので…」 首を横に振って、六倉さんの誘いを断った。
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