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「さあ、お掛けになってください。冷めないうちにどうぞ」
六倉さんの言葉にアンティークなテーブルの上に置かれたティーカップに目が止まる。
ティーカップからは既に注がれていたコーヒーの湯気が立っていた。
一礼してからテーブルの椅子を引いて腰掛ける。
六倉さんは私が座ったことを確認すると、この部屋の奥にある扉を開けて更に奥の部屋へと入っていった。
そして扉が閉まる音がしたあとで、私はゆっくりとカップを手にしてコーヒーを口にした。
熱過ぎずぬる過ぎない丁度良い心地よさが口の中に広がり、心にほんの少し安らぎを覚える。
私がここに通うようになった当初は店頭のショーウィンドウの七つの海の絵を見るだけで、店内なんて恐れ多くて六倉さんに誘われても断って逃げていた。
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