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「…ん?何か言ったか?」
ブルーが階段を先に下り終えて、ロビーの前で私の方へ振り返った。
「…ううん、何でもない!独り言だから気にしないで…」
と慌てて誤魔化す。
「…アクエリアスもナナミもなんかおかしいぞ?さては変なものでも食べたんじゃないか?…て、剣は食べられないか」
ブルーはそう話しながら、受付に部屋の鍵を渡した。
私も続けて鍵を渡す。
「しばらく出掛けてくる」
ブルーがいつもの店員さんに声を掛けた。
「お気をつけて、いてらっしゃいませ」
そう言って、店員さんが私たちに頭を下げる。
私も頭を下げ返し、先に外へと歩いていくブルーを追いかけた。
宿を出るとさっきよりも日が高くなっていて、とても空は青く澄んでいる。
それを見上げながら、私は絶好のデート日和…いや違った…散歩日和だと思った。
「何してるんだ?早く行くぞ」
私がこの穏やかな天気に和んでいると、ブルーが私を置いてさっさと先を歩いていた。
この時、ブルーはきっとあまりデートらしいデートをしたことがないんだなと率直な感想を抱く。
相手を置いていくなんて女の子からしたらマイナスだ。
と思わずブルーを睨む。
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