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「な、何だ?」
私の表情にブルーが眉をひそめる。
私はつかつかとブルーの元へと早足で追いつく。
「…何か機嫌悪いな?」
ようやく隣に並んだ私にブルーが訊ねる。
「…別に」
と無愛想に答える。
少しの間、二人の間に会話がなかった。
沈黙のまま、二人で町を歩いていく。
こういう時、足跡だけが妙に耳につくから不思議だ。
私の態度のせいで雰囲気が悪くなった。
…本当にそんなに機嫌が悪い訳じゃなかったんだ。
でも、今更素直にはなれない…
と悩んでいるとブルーが沈黙を破る。
「…なあ、良かったらナナミのいた世界の話をおしえてくれないか?」
ブルーが歩きながら、私を見ずにそう切り出した。
「えっ…?」
突然の内容に思わず訊き返す。
「…いや、俺の過去をナナミに話しているうちに俺もナナミの住んでいた世界を知りたくなったんだ。もし、話したくなかったら構わない…」
ブルーが少し照れ臭そうに言った。
私はなんだか急に嬉しくなって、ブルーの前に回り込んでブルーの足を止めた。
それにブルーが驚きの表情を浮かべる。
「ううん、嫌じゃないよ。むしろ話したい!それにブルーだけに話させたら不公平だもの!」
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