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ブルーの言葉に心からそうなって欲しいと願った。
散歩を終えた私たちは日が傾く頃、ようやく宿へと戻ってくる。
部屋に戻ると、案の定アクエリアスが怒っていた。
『遅いぞ!遅すぎるぞ!二人で出掛けて来いとは言ったが、あまりにも俺様を放って置きすぎだ!』
ベッドの上に横たわる剣が暴れて白いシーツをしわくちゃにしていく。
「…だったらアクエリアスも一緒に来たら良かったのに?」
と部屋着に着替えながら、アクエリアスに投げかける。
『…で、話したいことは話せたか?』
というアクエリアスの問いかけに、心の奥がチクリとする。
「…うん。いっぱい話せたよアクエリアスのお陰で…でも肝心なことが訊けなかった」
…そうだ。
一日ブルーと一緒にいたにも関わらず、訊けなかった質問がある。
『何を訊きたかったんだ?』
着替えを終えた私はアクエリアスのいるベッドの上に腰掛けてアクエリアスの質問に答える。
「ファーシル城に着いたあと、ブルーはどうするの?って訊けなかった…」
訊きたかったけれど、怖くて訊けなかったんだ…
『…そうか』
アクエリアスはただひと言そう言って、それ以上は何も言わなかった。
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