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アクエリアスの好意に甘えて、私は少し感傷に浸らせてもらうべく、部屋の窓から夕陽に照らされた町並みを眺める。
無事にファーシル城へと辿り着きたい。
…でも、辿り着いてしまったらブルーとお別れになっちゃう。
そんな葛藤が昨夜にブルーの話を聞いてからずっと抱き続けている。
何、考えているんだろ私…
立ったまま窓からの景色を見ながらため息をついた。
◯
翌日、私とブルーはクロフォードの様子を見にテッドさんの家を訪れた。
今日はアクエリアスも一緒だ。
テッドさんとその奥さん、そして私よりは歳下でクロフォードよりは歳上の女の子が私たちを出迎えてくれた。
勿論、クロフォードもだ。
私たちを家の中へと招き入れてくれる時のクロフォードとテッドさん家族のやり取りを見ていると、なんだか以前からクロフォードはテッドさんの子供だったような錯覚を抱いてしまう。
それくらいすっかり溶け込んでいた。
その姿に安心するも、そのクロフォードを私が旅へと連れて行くことが果たして正しいのかと、また悩み出してしまう。
クロフォードと一瞬、目が合った時に本当に私と旅に出ていいの?と思わず質問し掛けたが、なんとか飲み込んだ。
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