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「さて、必要なものはとりあえず揃えた。そろそろ宿に戻るか?」
繁華街の出入り口付近でブルーが私に訊ねる。
だけど、私は俯いたまま返事をしなかった。
「…どうした?何かさっきから元気がないぞナナミ?」
私の様子を心配したブルーが私の顔を覗き込む。
「ブルーは…そのブルーはファーシル城に着いたら、そのあとどうするの…?」
もじもじとしながらブルーに質問する。
するとブルーが少し困った表情を浮かべた。
「そうだな…ファーシル城にナナミを送り届けたら俺の役目は終わりだ」
ブルーの言葉に思わず表情に出してしまう。
この質問をする以上は顔に出さないようにしようと決めていたのに…
…私の馬鹿。
ブルーが困ってるじゃない。
私は俯いてギュッと目を瞑った。
すると、頭にブルーの手の感触がする。
ブルーが私の頭に優しく手を置いたのだ。
「…でも、それはファーシル城に着いてナナミの安全が保障された場合の話だ。城にはあの大臣と大臣側のルーラーがいる。ナナミが言っていたロックというルーラーが無事に城に辿り着いていて、ナナミを受け入れる準備がされていたらいいが、俺はそんな楽観的な予想はしていない。だから、正直なところファーシル城に着いてみないと分からないんだ」
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