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「…うん」
泣きながらブルーになんとか返事をする。
繁華街の入り口で私は人目を憚らず泣いた。
きっと、ブルーをまた困らせたに違いない。
泣いた理由は自分でもよく分からなかった。
…ただ、この旅が少しでも長く、そして無事に終わることを願った。
◯
寝起きの顔に朝日が当たって、思わず目を細める。
ルベリアの町を発つ日がやってきた。
部屋に完備されている洗面所へと向かい、そこに備えられている青く透明な塊の中に手を突っ込んだ。
すると、塊の中でぐるぐると水が循環する。
その塊の中から水を両手ですくって顔を洗った。
その冷たさから思わず声が出てしまう。
でも、おかげで目は覚めた。
顔を洗い終えて、アクエリアスがいるベッドまで戻ると旅立つ支度を始める。
アイリンの旅用の服にニオの村でブルーに買ってもらったパステルカラーのマントに身を包んだ。
それからアクエリアスを背負うべく肩ベルトを身につける。
そのあと部屋にある鏡で自分の姿を見つめた。
もう、すっかりこの世界の旅人に見える。
そのことが嬉しくて一人ニヤニヤと笑った。
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