崩れかけたカタチ

　３歳から発症したアトピーは、大人になったら治ると言われても未だに身体中に沸き立っている。
　たったひとりの子どもなのに、育児ノイローゼからのパニック障害と鬱を発病していて、未だに大量の薬がないと生きていけない。離婚してからますます投薬は増えた。
　診療代と薬代で、医療費がエンゲル係数より上回っている。
　働かなければならない。
　だけど働き先が決まらない。
　決まっても続けていけるか解らない。
　今日も不安を掻き消すかのように、発泡酒をあおる。
「違う。昨日の夜のこと」
「覚えてない」
　べろべろになるまで酔っぱらい、その勢いで求人サイトの案件に片っ端から応募していた。
「お母さん、私のここ、ぎゅーって絞めたんだよ」
　私は娘に目を向ける。
　ここ、と彼女は首を指さしていた。
「――え？」