崩れかけたカタチ

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「ねぇ、昨日のこと覚えてる?」  発泡酒片手に、私は求人サイトを開いていた。  そんな時、お風呂上りの娘から声をかけられた。 「昨日のこと? 仕事の不採用通知きて、それでまた動悸がして、精神科行ったけど」  旦那と別れて半年。  協議の時はきちんと生活費養育費を払うという約束で離婚した。  それでも、別れた旦那はあたらしい女とその子どもとの生活に、身もこころも注ぐようになり、一切の費用は払われなくなった。  弁護士をたてるお金も気力もなく、私は働きにでようと考えたのだ。  就職活動をして1カ月。  事務、販売、飲食、物流……どれもこれも箸にも棒にも引っかからない。  面接まで辿り着かず、送った履歴書が郵送で突き返されることもあった。  面接までこぎつけても、皮膚疾患で接客は難しいと、はっきりと言われた。  精神的にも病気を持っているので、たまにお休みをいただくこともあります、と面接で正直に言うと、あからさまに腫れものを扱うような目で見られた。  学校を出てすぐに家庭に入った私は、学歴も職歴もない。
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