罪は眠らない~新米刑事と天才犯罪者の正義のあり方~

254/257
前へ
/257ページ
次へ
「別に変化はないよ。足首の曲げ伸ばしは出来ないね。そうそう、足が動かせないってズボンを穿くのが大変だなと、昨日から実感中だ。ああ、それと、明日から本格的なリハビリが始まるらしい。不自由でも歩けるようにしておこうってことらしいね」 「そうですか」  何気ない会話にほっとすると、それからベッドに座ってのんびり本を読んでいる晴人に向けて、今日から河北の取り調べが始まったと報告した。 「河北の意識が戻りました。小野田の指示だったことは頑なに認めていませんが、事件に関して素直に供述しています。河北の荷物から改造スタンガンと睡眠導入剤も押収されました。それと、白石の事件に関して、自分が避難梯子を使って五階に移動したことも認めています」  その河北はS県の晴人が世話になった病院に入院している。スマホを改造した小型爆弾によりわき腹が抉られ、一時は意識不明の重体となっていた河北だが、なんとか回復したのだ。それに伴い、病院からS県警に取り調べの時にだけ移動する形を取って、今日から裏付け捜査が始まった。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加