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出会ってすぐは、こんな奴さっさと死んでしまえ、なんて思っていた。
だって、犯罪者だし。性格もまあまあ最低な奴だったし。
でも、今は――少しでいいからこの人の役に立ちたい思っている自分がいる。
「ここに私の過去の悪事を暴こうと、虎視眈々と狙っている者がいます。そしてその者が、今回の事件の犯人です」
重傷を負い、松葉杖をついていてもなお凛と立つその男の言葉に、ホテルの一階の大広間に集められた面々は息を飲んだ。そして、この男の悪事とは何なのかと、好奇の目を向ける。
そんな好奇の目に負けることなく、男は毅然と言い放った。
「今は緒方晴人と名乗っていますが、私の本来の名前は宗像出雲と言います。ある事件に関して司法取引を行い、名前と身分を新しく得ていたんです」
司法取引。
聞いたことはあっても日本では馴染みのないその言葉に、ホールの中は僅かにどよめく。それは今から殺人犯が指摘されようとしている中にあってもなお、衝撃的な言葉だった。
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