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――ついさっきまで晴れていた空が、土砂降りの雨になることがあるように、人生に『絶対』が存在しないこともわかっている。
風に吹かれ形を変えていく砂丘のように、時間と環境次第で、人の心は変わっていく。
それならばなぜ、人は永遠の愛を誰かと結ぼうとするのだろう。恋や愛が、形を変えるものだと知っているはずなのに。
『永遠結び』をしたばかりの二人を繋ぐ糸の結び目は、不格好な形かもしれない。
でも、その未完成な結び目を、少しずつでも、より上手く結べるよう互いに努力しながら、結び続けていく。多くの人と出会い、知識を得て、人間として成長しながら。
だから『永遠結び』の相手は、共に成長していきたい相手とするべきなのだろう。
俺にはまだ、夏美を幸せにする確固たる自信があるとは言えないし、今の幸せが絶対にずっと続くと信じているわけでもない。
それでも、夏美の幸せを願い続け、お互いの弱い所を補い合いながら、共に成長していきたいと思っているならば、『結婚』という形を結んでもいいのかもしれない。
不器用でも、前へ進む強い思いさえあれば。
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