スカウト

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しばらくして店員さんと森川さんが一緒に料理を持ち、席に戻ってきた。 何やら仲よさそうに話をしている。 店員さんと森川さんは、料理を私たちの前に置いた。 森川さんが席に着くと、店員さんは「またね」と手を振り、森川さんも「またね」と手を振り返している。 そして私たちの方を向くと 「ビックリしちゃった!同級生だったのよ。」 と言って笑った。 「えー、そんな偶然あるんですね!」 そう言いながら、私たちは運ばれたジュースを飲む。緊張と、おしゃべりのしすぎで喉はカラカラだった。 そこまではだった。 佐和がジュースを半分くらい飲むと急に 「ん、なんか・・・眠い・・・。」 と言って寝てしまったのだ。 私は突然の事に、言葉も出なければ動く事もできず、「まさか」と自分のジュースを見た。 私も半分くらい飲んでいるけれど、眠くない。 これは、ヤバイ人だったの? 逃げなきゃ・・・! 意外と人って一瞬で色々な事を考えられるんだと妙に落ち着いている自分と、ヤバイヤバイ、と慌てふためいている自分が脳内で余計な混乱を引き起こす。 走って逃げるのは・・・佐和を置いていけないし。あ、大きい声を出せば・・・! 「・・・!!」 その時、咄嗟に大きい声って出ないんだ、と知る。 私が慌てている様子をなだめるように森川さんが言う。 「安心して、あなたの方には入っていないわ。」 「・・・どういう事ですか?」 森川さんは「ウソをついてごめんなさいね。これは極秘任務なの。」とさっきとは違う、別の名刺を差し出す。 私はドキドキしながら受け取る。 手が、少し震えていた。 ーーー(株)ウェルビーイング製薬 ーーー研究室 主任調査員 森川 恵 「製薬会社?」 ウェルビーイング製薬って聞いた事ある。誰もが知ってる大企業だ。 「そう、彼女のジュースに入れた睡眠薬はウチの会社が開発した薬。体に害は無いから安心してね。 どうしても、話がしたかったの。 でもきっと、一人だと警戒して話してくれないと思って。」 森川さんは 「分かりやすいように動画があるから見てね。」 と言って、ノートパソコンの画面を私に向ける。 私は少し、息を整えてからパソコンの画面を見つめた。
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