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真っ暗な部屋の中、ベッドに横たわり目を瞑る。
深呼吸をして頭を空っぽにして、意識を深く沈めていく。
体の輪郭が溶け出すと、僕は闇と一つになる。
ここにいるのは、一人の男の子。
僕が引っ越してくるよりずっと前からこの部屋に住んでいた、無口な男の子。
名前すら教えてくれないけれど、彼は優しかった。
夜空に飛び出した僕が、遠くに行かないようにいつも引き留めてくれる。
だから、結局僕はこの部屋に二人。
心は軽く、いつまでもふわふわと。
何もせずに飛び回るだけ。
急降下、宙返り、背面飛行。
彼は黙って僕を見る。
一緒に遊ぼうって言っても首を横に振る。
こんな時間がいつまでも続いて欲しいのに。
カーテンの隙間から朝日が差し込む。
溶けていた僕の体が形を取り戻し、僕はまた檻の中に囚われる。
重たい体を起こしたら、君はもうどこにもいない。
おやすみなさい。また夜に。
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