赤い街

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赤い街

 山奥の、そのまた山奥──そこには、小さく、さびれた街が存在する。  その街にはおかしなルールがある。それは、日に一度、街のどこかを赤く染めなければならないというものだ。  故に、その街は東西南北どこから見ても真っ赤なのである──。  少女は、パタリと本を閉じた。少女には理解出来なかった。 「真っ赤、だって」  錆びれた街を見渡して、少女は今日も腕を切る。
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