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『『ピギイイイイーーーーーッ!』』
『火炎球。ボウッ。ゴォオオオオオーーーーッ!』』
肉が食べたくなったから、勉強の終わったクリスと一緒に森に兎狩りに出掛けたら、今までに見た事の無い奇妙で小柄な生物の群れと遭遇したけれど。見掛けるなりクリスが問答無用で攻撃して、根元魔法の火炎球で丸焼きに…。
『おや。未だ一匹生きていますね。魔力に対する抵抗力が、他の個体よりも高いようです』
幼馴染みのクリスの視線の先には、丸焼きにされた他の小柄な生物よりも派手な装飾品を身に着けている、少しだけ体の大きい奇妙な生物が荒い息をしてこちらを見ていた。
『ま、まて。にんげんのこども。おまえたちのむらをおそうつもりはない。ただ、ちかくをとおりかかっただけだ』
片言で話す奇妙な生物の様子を、クリスは村でいつもしているように、慎重かつ興味深そうに観察してから。
『下級魔族で妖魔とも呼ばれるゴブリンの群れを率いていた、ゴブリン祈祷師のようですね』
クリスの説明に納得して頷いて。
『これがゴブリンだったのか。生まれて初めて見たな』
『私も実物を見たのは初めてです。ヨハン』
クリスはそう言うと、ゴブリン祈祷師に対して。
『通り掛かっただけと言いましたね?』
クリスの問いに半焼けのゴブリン祈祷師は頷いて。
『そ、そうだにんげんのこども。きたのほうでまおうをじしょうするものが、したがわないものをみなごろしにしているので、みなみのほうににげてきた』
『成る程。そういう訳でしたか。雷』
『バリッバリッバリッ』
『ぎゃあああっ!』
半焼けだったゴブリン祈祷師を、根元魔法の雷で完全に焼いたクリスは。
『立てっ』
ユラッ、ユラアッ。
命を失ったゴブリンの群が、クリスの命令で丸焼きになっている体を起こすと。
『死骸を野晒しにすると衛生上の問題が生じますからね。自らを埋葬する穴を掘れ』
ユラッ、ユラアッ。
『ザクッ、ザクッ』
クリスの指示に従い、ゴブリンの亡者達が墓穴を堀始めたのを見て。
『埋める前に金目の物を持っていないか調べた方が良いんじゃないか?。クリス』
幼い頃から非常に聡明だけれど、少しだけ不安定に感じる事もあるクリスは、驚いた表情を一瞬だけ浮かべてから頷いて。
『ヨハンの言う通りですね。その発想はありませんでした。教えてくれてありがとうございます』
お礼を言う幼馴染みのクリスに対して笑みを浮かべて。
『気にするなよクリス。友達だからな♪』
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