戦渦の慕情

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『パカラッ、パカラッ、パカラッ』『パカラッ、パカラッ、パカラ』 『ヒューーーッ』 『風が心地好いわね。ウィル♪』 『はい。アリス御嬢様』 乳母子(めのとご)である私だけを伴い、領内で遠乗りをされているアリス御嬢様は。選りすぐりの駿馬(しゅんめ)の馬上で可憐(かれん)な少女の愛らしい笑みを御浮かべになられまして。 『カール御父様も私とは乳兄妹であるウィルの事は信頼して、二人だけで遠乗りに出掛ける事を許して下されるから、城館の外で自由を感じられるわ♪』 『はい。アリス御嬢様』 侯爵(フュルスト)閣下は大切な一人娘であらせられるアリス御嬢様の護衛という大任を、代々ヒンデンブルク侯爵(フュルスト)家に御仕えする栄誉に浴している騎士の家門に生まれた私に御任せ下されています。御領地内は安全だとは思いますが、常に警戒を怠らないように心掛けています。 『パカラッ、パカラッ、パカラッ』『パカラッ、パカラッ、パカラッ』 『こうした幸せな日々がこれからも続くと嬉しいわね。ウィル♪』 笑顔で御話になられたアリス御嬢様に対して、私も馬上で笑みを浮かべて。 『はい。アリス御嬢様。心底より同意いたします』
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