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《英雄神の子孫の父と娘と会った感想はどのようなものであった。我が信徒よ》
『はい。謀略神様』
レムリア王国の北方貴族諸侯領筆頭であらせられる、カール・フォン・ヒンデンブルグ侯爵閣下との謁見を終えて城下町の領事館に戻った私を、気紛れな性格で知られる謀略神様が、黒猫の御姿で御来訪なされました。
『レムリア王国の中央部の直轄領を統治する嫡流の王室と、東西南北の四大名家の中でも。カール・フォン・ヒンデンブルグ侯爵閣下と御息女は、最も濃く建国神でもある英雄神の血統を受け継いでいるように御見受けします』
信徒である私の感想を聞かれた謀略神様は、黒猫の御姿で座られて手で顔を洗われながら。
《正しい認識だ我が信徒よ。西方貴族諸侯領筆頭のバイエルン公爵家の現当主には狡猾さがあるが、他は英雄神の嫡流の現君主を含めて見るべき人材はおらぬな》
謀略神様はそのように仰せになられますと、手で顔を洗うのを止めて猫の黄色い瞳で信徒である私の顔を御覧になられますと。
《良禽は木を拓んで棲む。今の主君に盲従する事無く引き際を誤るでないぞ。我が信徒よ》
謀略神様の御言葉に、私は心底よりの感謝の気持ちを込めて恭しく深々と御辞儀を行い。
『はい。謀略神様。御言葉肝に銘じます』
私の返答を聞かれた謀略神様は立ち上がられますと。
《それで良い。さて、我が愛弟子の暮らす閉鎖的な村へ行くとするか。あのような辺鄙な土地で我が愛弟子のように優れた素質を持つ者が生まれる事があるから世の中は面白い》
謀略神様の今の弟子がどのような御方かは存じ上げておりませんが、極めて気に入られているようです。
《未だ若い少年だが、将来的には怪物や化物と周囲から畏れ敬われる存在となるであろう。もしかしたら、師である我を越して畏れさせるやも知れぬぞ》
謀略を司られる天上界の神々の一柱であらせられる謀略神の御戯れを聞きながら、そのような傑物ともし知り合う機会があれば、私も子供達も皆喜んで仕えるだろうと思いました。
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