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パトカーが一台停まっている。
「あの女、どんな感じでパトカーに乗せられるんだろう」
それが見たくて俺はパトカーを眺めていた。するといきなり開いたドアの向こう側に人の気配がするのを感じた。俺はバッと視線をそちらに向けた。ドアが向こう側から押されたようにバタンと大きな音を立てて閉まった。ドアの向こうには女が立っていた。ぼさぼさの長い髪で、白と赤のワンピースを着ていた。左手にはきれいにラッピングされた紙袋を持ち、右手には血に濡れたナイフを握っていた。
「・・・・・・え?」
見ると、廊下、女の向こう側で警察官が二人、お腹を抱えて倒れていた。その抱えたお腹からは赤い血が流れ、警察官の倒れたところに赤い水たまりを作っていた。
「あ、なんかごめんね。バタバタしちゃって」
刺激してはいけない。俺はゆっくり後ずさった。
「えっと、なんだか邪魔が入ったから忘れちゃったね。さっきはどこまで話したっけ?」
女はニタリと笑った。
「ねえ、覚えてる?」
おわり
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