ヘビーストーカー

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「え、いや、恋人に会いに。え、もちろんそうです。ね、ちょっと、ケンジ君からもちゃんと言ってよ!」  こいつ、なんで俺の名前知ってんだ。 「なんか、警察が私たちを引き離そうとするよ! ねえ! ケンジ君!」  インターフォンのカメラにかじりつくように女が俺に訴えかけてきた。 「ちょっと、離してください! ちょっと、ケンジ君! ああ!」  玄関の方でドタバタと音がした。彼女が抵抗しているのだろう。事前の警察への相談で俺は直接会わない方がいいと言われていたので、俺は玄関に耳をくっつけて物音から外の様子を想像するしかなかった。  数分ドタバタしていただろうか、やがて玄関前が静かになった。  俺はそーっとドアを開けてみた。ドアを少し開けた隙間から階段とエレベーター前が見渡せた。誰もいなかった。 「ああ、警察があの女を連れてってくれたんだ」  俺は外へ出て、廊下からマンション前の道路を見下ろした。
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