35人が本棚に入れています
本棚に追加
Rain season Is over
「待って、ちょっと待って、ねえ、なるなる、この展開は早すぎない?」
家に帰りついて、鍵を閉めた瞬間に、壁に押し付けて唇を奪った。
慌てたように背中に縋りついて、もごもごと文句を言っているようだったけど、口の中に舌を差し込んで舐めまわした。
息が切れて膝が抜けたらしいところで、引きずるようにベッドに連れ込んだ。
そこで出たのが、あわてたような静止。
「いや、思いを確かめ合って部屋にふたりきりでベッドがあって、今更なお預けだろ」
「だって、ほら、あの、なんにも話してない」
「ボディートークっていうものもあるだろうが」
「だって、いや、その待って……あの、なるなる? あの、オレね」
あわあわといろいろ言い募っているのを聞き流して、服をはいでいく。
礼服だから、後のことを考えて、ここは一気にマッパの方がいいだろう。
ちゅ、と鎖骨の上に唇を落としたら、びくっとして動きが止まった。
「俺は、ずっとお前を待った。清廉潔白じゃあないけど、それなりにずっとお預けだったんだ。これ以上待ちたくない」
「あ、あのでも、な……あの、オレ……」
「お前が童貞処女だってことくらい、知ってる。つか、あんだけずっと葵生だけ追っかけてて、違うって言われたら、その方がショックだ」
「だから、何でお前はっ! そうなんだけどっ」
「安心しろ。待ちたくはないけど、お前に負担かけるほどがっついてはないから」
「いやいやいやいや、今すでに、オレ、ビビってるから!」
「別にお前に何かしろとか言わないから。感じてろ」
「それが、んひゃっ」
自分の服も脱ぎ去って、熱く起き上がったものを太ももにこすりつける。
かわいい声をあげて、露木が固まった。
「そう、そやっていい声あげてろ……」
ぐいぐいとこすりつけながら、唇を食んで、指で耳たぶを挟み込む。
露木が俺の行動ひとつひとつに、戸惑いながら反応している。
耳の溝を舌でなぞる。
ちゅ、と音をたてて耳骨をかんだら、腰が跳ねた。
「な、なるなる……」
「好きだよ、露木」
「ん……ぁ、な、るなる……」
あんまりハードなことはできないだろう。
アラサーで童貞処女っていう、初な男だ。
抱え込んだ初恋こじらせて、やっと、俺の方を向いた、かわいいやつ。
怖がらせないように、中心をやわやわと撫でながら、あちこちに口づけていく。
これは快感だよと、教え込む。
鎖骨を甘噛みして、胸骨に吸い付いた。
乳首は舐めて押し込んで、吸い出して、くりくりと弄り回した。
「あ、や……ん、そんなとこ……ぁん、なんで? なんで……ふぁ、あ、ん……」
達しないように、感じるように。
へその中に舌を差し込み、太ももの付け根に吸い付いて印をつけた。
「なるなる……なる……あ、ああ、ん、や、も、もっと、触って……ちゃんと、触って……」
「触ってんじゃん。ほら、こんな濡れて、お前かわいいな」
「やぁ……だって、もっと……もっと…」
「ん? イきたい?」
「ん。ん。……ひゃぅ…ん、あ……」
敏感な体。
大事にしたいのに、めちゃくちゃにしたくなる。
いい声で啼きながら、俺にしがみつくから、うつぶせにして抑え込んだ。
「露木……俺のこと、好き?」
「ん……好き……」
「じゃあ、俺のものにしていい?」
「なるなるが、オレのになってくれんなら、いい、よ……」
同時に弄るのは、感じすぎて苦手だと泣くやつもいるけど、露木は初心者だから、後ろだけでは感じられないだろう。
ここも快楽を拾えると覚え込むまでは、前と同時に触っていくのが、いいらしい。
ぐじゅぐじゅと泣いて、いい声を上げる露木の後ろをほぐす。
前を触って、先走りをこぼさせる。
「ああ……なる…な……ン、あ、や、好き……好き、あ、もう、もう……や」
「かわいいな……好きだよ、露木……」
弄り回して、とろとろにして。
訳が分からないくらいになったところで、抱きしめた。
ぎゅうっと。
安心したように俺にすり寄ってきたところで、中に入り込む。
狭くてアツくて、誰よりも近くになれるところ。
「あっああああ……」
「つ、ゆき!」
好きだよ。
他の男を想っているお前も、好きだった。
その気持ちがこっちを向いてくれた。
もう、離せるわけないだろ?
「ああっ」
「好きだ、露木」
「オレも……オレも、す、き…っんぁっ」
片思いは、もう終わり。
これからはふたりで。
<END>
最初のコメントを投稿しよう!