アングレカム

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「そろそろ日が暮れそうですね」 「うん、そろそろ休もうか」 ミラは海から上がると、海岸沿いに咲く花を見つけた。 「博士、この花はなんというのですか」 「ああ〜、それはね」 ミラはピンク色の花に顔を近づける。 「ハマナスって言うんだ。バラ科の植物で、木の実が酸っぱいことから浜梨、ハマナスと訛ったらしい。花言葉は『悲しくそして美しく』。ローズヒップの原料やお茶など様々な用途に使われるんだ」 「バラの仲間ですか」 「うん。まあ、とは言ってもバラとは別物の植物なんだけど」 ミラはしばらく固まった後に言った。 「同じバラなら問題ないでしょう」 そして、ミラはおもむろにハマナスの花を摘み取った。 「…ミラ?」 ミラは振り返って、摘み取った花を差し出した。 「博士、ここに3つのバラがあります」 バラは本数で花言葉が変わる。 「花言葉…?知ってるの?」 「本屋に寄ったとき見かけました」 ミラはゆっくりとこちらに近付いてきた。 「これを博士に」 そう言って、ミラは僕の手にハマナスの花を乗せた。 「ミ、ミラ……お前…」 「難しい事なのでよくわかりませんが、きっとこういう事なのでしょう」 ミラは、いつものようにニコッと機械的に笑ってみせた。 「愛しています、博士」 その機械的な笑みは、僕の目には満開の花のように美しく咲き乱れて見えた。
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