第21話 ピンクゴールドの剣

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「ぐぐぐ……」  しょんぼりと肩を落とす少年。  仮に、心へのダメージが数値化できるとしたら、少年の心臓から『28』ぐらいの煙が飛び出したに違いない。  それは、優衣の口撃力が強いからか、少年の守備力が弱いのか……。  幸い、少年の“心のHP”はそこそこあるらしく、すぐに立ち直って何か良いアイデアを思いついたように顔をパァァと輝かせた。 「よし、じゃあまず剣は返してもらうよ!」 「あ、うん」  優衣は、ピンクゴールドの剣をそっと少年に手渡した。 「はい、返して貰った。でもさ、元々この剣、女の子っぽいカラーだし、ぶっちゃけあと2本も剣持ってるし」  少年は腰に下げた鞘をポンと手で叩いた。  それを見た優衣は「あっ」と声を漏らした。 「だから、もう売るか捨てるかしようかなって思ってたとこなんだ。でも、この辺に武器屋も質屋も無いし、ゴミ箱も見当たらないし、こっそりここに捨てちゃおっと」    そう言って、少年はピンクゴールドの剣をポイッと地面に投げ捨てた。 「さーて、身軽になったことだし、旅の続きに戻ろっと。あー、もうその剣は僕のものじゃないし、誰が拾っても別にかまいやしないよなぁ~」  少年はわざとらしく大声を出した。  それを見た優衣は、 「……ははっ! そっか。それじゃ、なんかこの剣かわいいし、拾っちゃお!」  と、その場にしゃがみ込んで剣を手に取った。  そして、あたかもいま初めて少年の姿に気付いた(てい)で、 「あっ、どうも。ねえ、見て見て。こんな良さげな剣拾っちゃったんだけど? ラッキー!」  と言って、顔をクシャッとさせた。
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