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「なあ香織、ちょっとこっち来てくれる?」
直樹はダイニングの方を振り向き、1人でテーブルに腰掛けてマイペースにからあげを食べている妻に声を掛けた。
彼女は不敵な笑みを浮かべながら箸を置き、そっと立ち上がってゆっくり3人の元へと歩み寄る。
そして、勝ち誇ったような目で直樹を見つめながら囁いた。
「ほら、居たでしょ?」
「あ、うん、まあ、居たな。っぽいやつが……って、それもなんだけど、庭の様子がおかしくない? こんなにまっ暗だったっけ? 隣の家ってすぐそこだよな?」
直樹は窓の外に訝しげな視線を送った。
マイホームではあるものの、昼間は仕事で家を空けており、夜は夜で疲れて帰ってきて食事してお風呂に入って寝るぐらいなものなので、正直まだ把握し切れていない部分が多々あった。
その点、専業主婦として基本家に居る生活を送っている香織の方が、このマイホームの知識に関しては直樹よりも遙かに上であることは間違い無い。
「そう、おかしいのよ。今朝、洗濯物を干した時は特に何も引っかかることは無かったんだけどね……」
香織は静かに語り始めた。
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