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「ねえレベル4だって! すごいねユイ!」
「うん! ありがとう! ……って、そう言われても何が変わったのかさっぱりだけど~」
優衣は顔を下に向けて自分の体の様子を確認してみたが、特にムキムキになったりということもなく、手をギュッと握ってみても力が強くなったような感じも全くしなかった。
「まあ、パッと見じゃわかんないかもね。でもレベルが3つも上がったら、攻撃力とかHPとか絶対かなり上がってるはずだから、バトルになったら分かると思うよ」
ロフニスは優衣の肩をポンッと叩いた。
「そっか。んじゃ、早くバトりたいなぁ……そうだ、上行こ上! おっさき!」
優衣は両手を大きく振りながら、タッタッタと軽い身のこなしでらせん階段を上がっていった。
「ちょ、ちょっと待って、宝箱まだ開けて無いよ!」
ロフニスは優衣の背中に向かって声をかけた。
しかし、レベルアップして素早さが増したせいか、優衣はあっという間に上の階に消えてしまった。
「……まっ、あとで戻ってきた時に取ればいっか。戦闘報酬だからすぐには消えないだろうし」
そう呟きながら、ロフニスも2階に上がろうとして階段に足をかけたその時。
「うわぁっ!!」
上から、優衣の叫び声が聞こえた。
「お、おい! どうした!?」
ロフニスは両手で剣を構えながら、3段飛ばしで階段を上がっていく。
「ユイ!!」
焦りの色を帯びた声と共に、ロフニスは2階にたどり着いた。
そこあったのは、ほぼ1階と同じような作りの部屋。
ただ、角度的な違いからか2階の方が窓から差し込む日射しが若干強く、1階より部屋の中が明るく、ロフニスはすぐに優衣の姿を捉えることができた。
「はぁ、はぁ」
荒い息づかいとともに、優衣の肩が上下している。
「ユイ、大丈夫か!!」
ロフニスは声をかけながら優衣の元へと駆け寄った。
「あっ、ロフニス! もう、びっくりしたよぉ。この階に着いたらいきなり敵が出てきて!」
優衣はこともなげに言い放った。
「えっ? 敵??」
ロフニスは部屋の中を見回した……が、魔物の姿は見当たらない。
その代わり、部屋の中央辺りに宝箱が置いてあることに気がついた。
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