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「ちょ……もしかして、その敵もう倒しちゃったってこと!?」
「へへへ」
優衣は、ロフニスの質問に対して照れくさそうに笑って返した。
「おお、すげえ! どんなヤツだったの?」
「うーん……なんか毛むくじゃらなやつだったよ。一瞬でやっつけちゃったから、はっきり覚えてないけど!」
「へえ~。一瞬って剣で?」
「そうそう、剣でバサッとやったら『28』みたいな煙が出て。スーッと消えて宝箱が出てきたの。って、そういえば1階のやつ開け忘れてた! まあいいや、とりあえずこれ開けて見よっと。あっ、ロフニスちょっとこれ持ってて」
優衣はピンクゴールドの剣をロフニスに預けると、宝箱に駆け寄り両手で開けた。
「なに入ってた?」
ロフニスは元々ピンクゴールドの剣が入っていた鞘を自分の体から外すと、その中に剣を入れながら優衣に声をかけた。
「なんだろこれ? なんかの実みたいな感じ」
「えっ、実?」
ロフニスは優衣の手元を覗き込んだ。
そこには、クルミのように硬そうな茶色い実があった。
「もしかしてそれ……。あっ、これ肩にかけて使って」
ロフニスはピンクゴールドの剣を収めた鞘を優衣に渡した。
「ありがと!」
優衣は鞘に付いている紐の輪に頭をくぐらせた。
そして、鞘を背中に斜めがけして、剣の柄を持ってスッと引き抜いてみた。
「おお! こりゃ便利ぃ!」
再び剣を鞘に戻したり、また抜いたり、また戻したり……を嬉しそうに繰り返す。
「ふふっ、気に入って貰えたみたいで良かったよ。で、この実だけど……」
ロフニスは右手の親指と人差し指で実を掴んで目の前に構えた。
「たぶん、〈魔烈の実〉じゃないかな?」
「……マレツノミ??」
「うん。この殻の中には魔法の力が封じ込められていてね、自分や敵、それに床や壁にぶつけると殻が破れて中の魔法が発動するっていうアイテムなんだよ」
「おお! すごっ!」
優衣は目と口を大きく開きながら、驚きの声をあげた。
その実の中には一体どんな魔法が詰まっているのか、と心躍らせていていたが、一つだけ気になることも。
「ねえねえ、敵とか床とかにぶつけるっていうのは分かるけど、『自分にぶつける』ってどういうこと??」
「ああ、それはね、魔法の種類によるってこと。攻撃系の魔法なら敵にぶつけた方が良くて、回復系の魔法なら自分にぶつけて使うんだ」
「おお! なるほど!」
優衣は手をポンと叩いて納得の意を表す
「あっ、それじゃ、その実の中にはどんな魔法が詰まってるの? 攻撃系? 回復系?」
興味津々な優衣はグイグイとロフニスに詰め寄っていく。
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