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「いただきまーす!」
ようやく宿題を終えた歩斗を加えて、家族4人が食卓に勢揃い。
話題はもちろん、ロフミリアでの冒険譚。
歩斗が魔物召喚スキルチョーカーを手に入れたことや弓矢でターゲットを一発で射抜いたことを自慢すれば、優衣も剣でバッタバッタと魔物を倒していったことを臨場感たっぷりに語った。
直樹は驚き、感心し、そして羨ましく思った。
仕事を頑張って早く帰宅したのは、こうやって家族で一緒に食卓を囲みたかったのはもちろんだが、ロフミリアへ行きたいという気持ちも少なからずあったのだ。
それは、その経験が仕事に直結するから……というのもあるが、単に遊びに行きたいという思いも当然あった。
ただ、いざこうやって帰ってきてみると疲れがどっと吹きだしてきて、これから旅立てる気力は到底残っていない。
と言うわけで、食事の後にお風呂に入るとやばいぐらいの眠気が襲ってきて、気がついたらベッドの中で深い眠りについていた。
ドンドンドンッ
ドンドンドンッ
「……な、なんだ!?」
直樹は、リズミカルな謎の音に急かされたようにパッと瞼を開いた。
すぐ隣では、妻がスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
それを見て、直樹は苦笑いした。
「ふっ、夢か」
小さく呟くと、静かに瞼を閉じて眠りに戻ろうとした。
が、しかし。
ドンドンドンッ
ドンドンドンドンドンドンドンッ
また、音がした。
まだ眠りに落ちてはいないということは、間違い無く現実の音だと直樹は確信。
「なんなんだ一体……」
眠い目をこすりながら、徐々に頭の回転数を上げつつ、再び音が鳴るのを待った。
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