61人が本棚に入れています
本棚に追加
ドンドンドンッ!
ほぼ同時に音が鳴り、直樹は思わず「ヒャッ!」と声を裏返らせた。
窓の外にはスライム……ではなく、月明かりに照らされた一人の少女の姿があった。
「えっ……?」
直樹は小さく驚きの声を漏らした。
そして、見知らぬ少女と目と目が合ったまま、数秒硬直した。
少女は、なにかとても焦ったような表情をしている。
「にゃーん」
……えっ?
この鳴き声ってことは、人間の少女じゃない!?
そう言えば、よくよく見てみると耳も猫っぽいし、全体的な雰囲気も野性味があるというか……
「わっ!」
直樹は、足首に何かが触れたような感触が走り、思わず声を出してしまった。
「な、なんなんだ……って、ささみか。脅かすなよ!」
足下に視線を落とすと、愛猫の姿が目に飛び込んできた。
「にゃーん」
窓の外に立つ少女に向かって鳴くささみの様子を見る限り、泥棒なんかの類いでは無さそうに思えた。
「でも、それじゃ何者なんだ……」
「ユセリ!!」
直樹の呟きに答えたようなタイミングで、背後から声がした。
振り向くとそこには、寝間着を着た歩斗が寝ぼけ眼で立っていた。
どうやら窓を叩く音で起きてきてしまったようだ。
いや、それよりも気になるのは……
「えっ? 歩斗の知り合いなのか??」
「うん。仲間だよ~」
歩斗は、明らかにまだ半分寝ぼけているような声で答えた。
「仲間? あっ、そういえばユセリって……」
直樹は、ハンバーグを食べながら聞いた歩斗の話を思い出していた。
確かその中で、ユセリという名前が出てきたような……。
最初のコメントを投稿しよう!