第26話 真夜中のドンドンドンッ

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 ドンドンドンッ!  ほぼ同時に音が鳴り、直樹は思わず「ヒャッ!」と声を裏返らせた。  窓の外にはスライム……ではなく、月明かりに照らされた一人の少女の姿があった。 「えっ……?」  直樹は小さく驚きの声を漏らした。  そして、見知らぬ少女と目と目が合ったまま、数秒硬直した。  少女は、なにかとても焦ったような表情をしている。   「にゃーん」  ……えっ?  この鳴き声ってことは、人間の少女じゃない!?  そう言えば、よくよく見てみると耳も猫っぽいし、全体的な雰囲気も野性味があるというか…… 「わっ!」  直樹は、足首に何かが触れたような感触が走り、思わず声を出してしまった。   「な、なんなんだ……って、ささみか。脅かすなよ!」  足下に視線を落とすと、愛猫の姿が目に飛び込んできた。   「にゃーん」  窓の外に立つ少女に向かって鳴くささみの様子を見る限り、泥棒なんかの類いでは無さそうに思えた。   「でも、それじゃ何者なんだ……」 「ユセリ!!」  直樹の呟きに答えたようなタイミングで、背後から声がした。  振り向くとそこには、寝間着を着た歩斗が寝ぼけ眼で立っていた。  どうやら窓を叩く音で起きてきてしまったようだ。  いや、それよりも気になるのは……   「えっ? 歩斗の知り合いなのか??」 「うん。仲間だよ~」  歩斗は、明らかにまだ半分寝ぼけているような声で答えた。 「仲間? あっ、そういえばユセリって……」  直樹は、ハンバーグを食べながら聞いた歩斗の話を思い出していた。  確かその中で、ユセリという名前が出てきたような……。
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