第26話 真夜中のドンドンドンッ

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「にゃーん!」  ささみがチラチラと窓の方に顔を向けながら、両前肢で直樹の足をカリカリした。  窓を開けたげて……と、言っているようだった。   「お、おう、そうだな。歩斗の仲間みたいだし……」  直樹は鍵を外して窓を開ける。  ロフミリアの生ぬるい風が部屋の中へと吹き込んできた。   「にゃーん」  ユセリを見上げながらささみが鳴く。  一体どうしたの、と言ってるよう。 「どうしたのユセリ??」  あくびをしながら窓際までやってきた歩斗が同じく問いかけた。 「アユト、さっきぶり! ネコちゃん、あとオジさん、初めまして!」 「あっ、こちらこそ」  何が何だか分からないまま直樹は言葉を返す。  直樹としては、夜中に人の家の窓をドンドン叩くなんて正直ヤバい子なんじゃないかと思っていたのだが、予想外の礼儀正しさにその考えを改めた。  そして、ユセリの焦りに満ちた表情の原因はすぐに分かった。 「ねえ、聞いて。アユトとバイバイしたあと、わたしが住んでる国ミリゼア……つまり魔物の国に戻ったんだけど──」 「えっ、魔物??」  直樹はユセリと歩斗の顔を交互に見た。 「パパ! とりあえずユセリの話を聞こうよ!」 「そ、そうだな。ごめん、続けて」 「うん。ミリゼアに戻ったら、なんか騒々しい感じだったから気になって調べてみたら、空を飛んでる偵察ドラゴンがこの森で怪しい人影を見たってことで、調査団を派遣して調査する……って話を聞いちゃったの!」 「えっ!? 調査団だって!?」  ざっくりとした話だったものの、いかにもヤバそうな内容に焦る直樹。 ささみと歩斗の顔にも不安の影が浸食し始めていた。 「派遣……って、それは一体いつ──」  直樹が質問しようとした途端。 「大変だ、大変だ!!」  森の奥から、今度は少年が姿を現した。  ユセリと同じような焦りに満ちた顔をしている。 「……ロフニス!」  背後からも別の声。  直樹が振り向くと、そこには優衣の姿があった。  リビングと異世界の境界線上に、続々と人が集まってくる。   「大変だ! ユイと分かれて僕の国ロフレアに戻ったらなんか騒々しい感じだったから、気になって調べてみたら、この森に調査団を派遣するって! なんか、この辺で怪しい人影を見つけたからとか何とか……」  ロフニスの口から、どこかで聞いたような言葉が飛び出す。  調査団と言われてもいまいちぴんと来ない直樹たちであったが、とにかく涼坂家にとってピンチなことだけは間違い無さそうだった……。
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