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「アレだ! アレさえあれば何とかなるかも!!」
「えっ? アレってなに??」
ロフニスのアバウトすぎる言葉に対し、具体性を求める優衣。
「アレっていうのは……〈隠れみのオーブ〉だよ! それさえ手に入れることができれば……!」
ロフニスが興奮気味に叫ぶが、優衣はキョトンとするばかり。
しかし、同じ世界に住んでいるからか、ユセリは目を大きく見開き、
「それだ! この状況を解決するのにピッタリすぎる! やるなロフニス!」
と、人間の少年を褒め称えた。
少年は「へ、へへへ」と照れくさそうにポリポリと頭をかき、それを見た優衣はなぜかムムムという表情を浮かべている。
それに比べて歩斗はと言えば、何が何だか分かってないくせに、おおっ、と単純に感心していた。
「ねえ、おふたりさん。盛り上がってるとこ悪いけど、その〈隠れみのオーブ〉っていうのはどういったものなのかな? 隠れみの、っていう語感から何となく想像がつかないこともないけど」
「にゃーん」
直樹とささみは揃って異世界の2人の答えを待った。
「えっと、〈隠れみのオーブ〉っていうのは、一定範囲内にあるものを他の人間や魔物に見せないようにすることができるアイテムなんです」
ロフニスが切り出す。
「そうそう。それさえあれば、アユトんちを隠してどっちの調査団にも見つけなくさせることができるってわけ!」
ユセリが付け足した。
「それは凄い! でも、そんな使えるアイテム、どうやったら手に入るのかな? 何となくだけど、簡単に入手できるようなものじゃ無さそうな……」
「北の大地……だよね、ロフニス」
「うん、だろうね。使えるアイテムほど北の大地にある、ってことわざがあるぐらいだし」
2人の答えは一致。
直樹の脳裏に、陽気な商人から聞いた言葉がよぎった。
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