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「だからね、矢を当てるコントロールは凄いと思うけど、レベル1だと攻撃力はたかが知れてるから、正直戦力にはならないと思うの」
「そ、そういうもんなの??」
「うん。だから、レベルが低いうちは攻撃よりも回復役に徹した方が良いと思うんだよね。っていうか、あの時見つけた矢ってたぶん回復用のやつだし」
「えっ、そーなの? じゃあ、味方に撃つと回復させることができるってこと?」
「そうそう! だからバトルになったら、スララスを呼んで攻撃はスララスに任せて、アユトは弓矢で回復する、って感じでやったら、めちゃくちゃ活躍できると思うんだけど……
」
ユセリは、自分のアドバイスに自信はあったものの、弓矢を手に入れたばかりの子に攻撃しないで回復しろって言うのはさすがにどうかな……と不安になってる様子。
しかし。
「オッケーわかった! ガンガン回復しまくるぜ!」
歩斗はビックリするほどスルッと素直にアドバイスを受け入れた。
「うん! さすがアユト! そういうの凄く良いと思うよ。それじゃ、私行くね! 隠れみのオーブ、絶対見つけて来て!」
「おう! ユセリも調査団の時間調整なんちゃらってやつよろしくな!」
手を振る歩斗に見送られながら、ユセリはピョンピョンと跳ねるように真夜中の森の中へと消えて行った。
「よし、じゃあ僕も国に戻らないと。あっ、そうだユイこれ」
ロフニアはポケットから何かを取りだして見せた。
「えっ? なになに?」
興味津々の眼差しで、トコトコと彼の元に歩み寄る優衣。
「これって……なに?」
それは、コンサートのチケットのような1枚の紙切れだった。
「これは〈地下移動式自動販売機〉の召喚チケットさ!」
ロフニアはドヤ顔で言い放った。
しかし、優衣はもちろん、その場に居た全員がキョトンとなっている。
「あっ、ごめん。まず自販機の説明しなきゃだよね。〈地下移動式自動販売機〉っていうのはね、まあざっくり言うといつでもどこでも呼んだら来てくれるお店、って感じかな? ほら、ユイが魔物倒したとき銀貨とか金貨とか貰えたよね? あれを使って買い物できるんだよ」
「おお、これね!」
優衣は何故かパジャマのポケットの中に入れてあった銀貨と金貨を取り出した。
「そう、それそれ。で、この召喚チケットを地面に置いて『出でよ自販機やーい!』って呼ぶと来てくれるんだ」
「ふぇー! 凄いねそれ! ねえ、やってみよやってみよ!」
優衣はロフニスの手からバッとチケットを奪い取り、早速地面に置いて自販機を呼ぼうとした。
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