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「にゃーん!!」
唯一、直樹のピンチに気付いていたささみが魔物に向かって大ジャンプ!
「マ、マグゥ!?」
突然の援護攻撃に戸惑ったクマ魔物は、直樹に当たる寸前で急ブレーキをかけ、重心を後ろにかけて後ずさりした。
その直後、直樹のすぐ目の前にささみが着地。
魔物がブレーキをかけていなければ、間違い無くささみの攻撃がクリーンヒットしていに違いない。
「にゃーん……」
瀕死状態の直樹にすり寄るささみ。
「ううう……ありがとう、ありがとうな……」
唯一自分を気にかけてくれる愛猫の優しさに触れた直樹は、その目から涙がこぼれ落ちそうになるのをぐっと堪えていた。
が、しかし。
感動の場面が訪れるにはまだ早い。
ささみという名の飛び道具ががかわされてしまった今となっては、クマの魔物に死角は無かった。
レベル6の剣士ユイとレベル2の回復弓使いアユトはまだこの非常事態に気付かず、どんどん経験値稼いでレベルアップしたいね的な話で盛り上がっている始末。
「ったくアイツら……! もう、こうなったら自分の力でなんとかするしか……」
勇ましい言葉をつぶやく直樹だったが、魔法攻撃で与えられるダメージは常にたったの1。
まだ赤字煙が出てきてない以上、少なくともあと数回は攻撃を与えなければならない計算だが、それまでに間違い無く自分がやられてしまう。
万事休す……と、諦めかけたその時。
「にゃーん、にゃーん!!」
ささみの目はまだ勝利を信じていた。
そして、何かを訴えかけるように、可愛らしい前肢で直樹のアイテム袋をカリカリとひっかきだした。
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