第31話 初めての召喚

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「わっ、ホントにきた! スララス!!」 「アユトさん! 先ほどぶりですイム!」 「えっ、名前覚えててくれた! っていうか、本当に来てくれた!」 「当然ですイム! だって、仲間ですからイム!!」 「おお、スララス!!」  ……と、熱い友情を確かめ合う歩斗とスララス。  しかし、いまいち状況が飲め込めない直樹は、なんのこっちゃさっぱりわからず唖然とするばかり。  ただ、クマの魔物も自分と同じように呆気にとられているのをチラッと横目で確認した直樹は、刺激を与えないようにさりげなく、そっと歩斗の元へと抜き足で移動した。  ささみも猫足で付いていく。 「おい歩斗、なんだその……彼は。どう見てもスライムっぽいが……」  直樹に視線を向けられたスララスは、ちょこんと頭を下げてお辞儀した。   「スララスだよパパ! ボクの仲間! これで召喚したんだ、凄いでしょ!」  歩斗は魔物召喚スキルチョーカーを自慢げに見せつけた。  そう言えば、晩飯を食べてる時にそんな話を聞いたような……と、直樹は微かな記憶をたぐり寄せる。  スララスは、 「初めましてスララスと申しますイム。よろしくお願いしますイム!」  と丁寧に挨拶したのだが、チョーカーを装備していない直樹の耳には、 「イムイムイム!」  といった風にしか聞こえなかった。 「なあ、歩斗は普通に話ができてるってことか?」 「うん! これのおかげ!」  歩斗は再びスキルチョーカーを見せつけた。 「わかったわかった! それじゃ、もしかしてアイツの言葉もわかってたのか?」  直樹は、相変わらず呆然と立ち尽くしたままのクマ魔物を見ながら言った。   「ううん。わかんない。話せるタイプの魔物とそうじゃないのがいるっぽい」  と答える歩斗の目の前で、大人しいスライムに興味津々の優衣がスララスの顔をマジマジと見つめたり、つんつくつんつくと指で突いたりしていた。   「あっ、そんな見られると恥ずかしいですイム……突いたりとか……あっ……」  頬を赤く染めながら身もだえるスララス。
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