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「にゃーん」
さらに、ささみも加勢して、爪を引っ込めた前肢でスララスのプルプルな肌をフニフニと押したりし始めた。
「なんだか分からんけど……可愛いなおい。っていうか、どんな感触なんだこれ……」
直樹もスララスの魅力に取り憑かれ始め、腰をかがめてプルプル肌を撫でようとしたその時。
「マグマグマグゥ~ウ!!」
クマ魔物が自分もかまってくれとばかりに、声高らかに吠えながら直樹たちに向かってギロリと睨みつけた。
「歩斗! 今のはなんて聞こえた?」
「マグマグマグ……って」
「そっか……」
がっかりと肩を落とす直樹。
クマの魔物はゆっくりと距離を詰め始めている。
「おいおい、いよいよやばいぞこれ……」
直樹は焦りに満ちた声を漏らした。
しかし、歩斗と優衣、そしてささみは全く動じる素振りを見せない。
その間も、のっそのっそとクマの魔物は近づきつつあるのに、だ。
すると突然、スララスがクマ魔物の方へとピョンピョン跳ねながら近寄っていった。
「おっ? まさか、あんな可愛いスライムがアイツを倒してくれるのか……!?」
淡い期待を抱いた直樹だったが、様子がおかしい。
クマ魔物のすぐ目の前まで行くと、スララスは攻撃する素振りを一切見せず、なにやら「イムイム」と喋り始めた。
すると、クマ魔物も「マグマグマグ」とスララスに向かって声をかける。
その様は、とてもバトルしてるようにもこれから始まるようにも見えず、完全に会話。
それも、かなり親しげに見える。
「なあ歩斗。なんて言ってんのかなあれ?」
「うん、スララスの言ってることしか分からないけど、なんか知り合いだったっぽい。あのクマのやつと」
「なるほどね……ってことは、今アイツかなり油断してるよな。この隙に……」
直樹は脇に挟んでいた魔法の杖を両手で握りしめた。
何らかの知り合いであるスララスとの再会でテンションが上がり、会話に花を咲かせているクマ魔物の油断しきってる背中側に回り込もうとしたのだが……
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