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「おい! 歩斗! 優衣! 地下ダンジョンの入口見つけたぞ!! ささみが……ぼそっ」
子ども達に向かって叫ぶ直樹。
すると、長期戦の様相を呈し、ほぼ同じ光景のまま止まっている炎の競演に飽きてきた歩斗と優衣は、
「おお!!」
「どこどこどこ!!」
と、声を上げながらやってくる。
「ほら、これこれ。って、早速入るぞ! 誰かに見つかったらたまったもんじゃないからな……」
誰か、とは遠くでとてつもないバトルを繰り広げる巨大なドラゴンや亀、はたまたまだ見ぬ北の大地の魔物に他ならない。
とにかく地下ダンジョンに入って目当てのアイテムをゲットし、さっさとこの薄気味悪い紫色の大地からおさらばしたい一心の直樹は、手早く木の扉を開け、そそくさと階段を降り始めた。
その後ろを、ささみと二人の子供がついていく。
ダンジョンの作り自体は森の中にあったやつと似てるのかな……なんてことを考えながらリズミカルに階段を降りていくと、あっという間に少し大きめの部屋にたどり着いた。
地上の地面と同じように、ダンジョンの壁の色もまた紫色だった。
ダンジョンと言うからには、何らかの魔物やら敵やらがいるってことは直樹も覚悟していた。
しかし、その部屋の中央に居たのは……
「ニャギ? オマエらナニモノだ? レヒムルのモノじゃないなおい。ってことはミリゼアの魔物……いや、ロフレアの人間か。ニャギニャギニャギ! 面白くなりそうだニャギ!」
クセのある笑い方をする猫。
ベースは黒猫なのだが、そのおでこには角があり、背中に生えた翼を羽ばたかせて空中でホバリングしている。
なんだこの生き物は……と、直樹を始め歩斗と優衣、そしてささみまでもが呆然と立ち尽くしていた。
「ん? どうしたニャギ? ああ、ニャレ様の名前はユニギャット! このダンジョンの主……というわけでは無く、この辺りの見回りをしてるついでにたまたまちょっと立ち寄って羽を休めていたところだニャギ。それよりオマエらこそナニモノだニャギ。こっちにだけ名を名乗らせてだんまりを決め込むとか失礼にもほどがある……って、勝手に名乗ったんだけど! ニャギニャギニャギ!」
空飛ぶ黒猫は早口でまくし立てた。
意外すぎるノリの良さにどう対応したら良いのか、ただただ戸惑い続ける直樹たちであった……。
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