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シャキーンッ!
今度はさっきよりもかなり鋭い金属音が部屋に鳴り響いた。
「うわっ、出た!」
優衣の目の前に、突如魔物が姿を現す。
「……ハリガネ??」
魔物の姿を見た優衣が小首を傾げる。
その魔物は腕から足から頭まで、細い金属状のハリガネボディだった。
「リッハッハッハッハ! 拙者の相手はオマエか? 完全に子供じゃないかおい」
バトル相手に不満を漏らすハリガネ状の魔物の右手には、これまたハリガネのような長細い銀色の剣が握られている。
「へへん! 子供だと思ってなめてると痛い目みるよん!」
負けず嫌いの優衣は背中のホルダーからピングゴールドの剣を抜いて両手で構えると、ハリガネ魔物をキッと睨み付けた。
「リッハッハ! なるほどなるほど。お嬢ちゃん、なかなか良い構えをするじゃないか。ちゃんと戦士ってわけか。これは失礼した。では、改めてしかと名乗らせてもらおう。拙者の名はハリガネナイト! 〈ハリガネの剣〉を使いし剣士なり!」
魔物は高らかと名乗りながら、目にも止まらない早さで自慢の剣さばきを見せつけた。
「おお、すごい! わたしもそれやる! わたしの名前はスズサカユイ! この可愛らしい剣を使う剣士だよん!」
優衣はハリガネナイトの動きを真似て、ザッザッザとピンクゴールドの剣で見えない敵を切りつけるように素振りをして見せた。
「リッハッハ! 面白い! それじゃ、行くぞキュートな剣士よ!」
そう言うと、ハリガネナイトはもの凄い勢いで優衣に突進した。
「うわっ、っとっと!」
手に持った剣を振って重心を移動させ、器用に敵の突進をかわす優衣。
「リハハ! やるな! リハハ!」
ハリガネナイトはクルンと体を反転させて優衣の方を向きながら、始まったばかりの戦闘を楽しむかのように笑い声を上げた。
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