第34話 ささみの選択とハリガネナイト

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 シャキーンッ!  今度はさっきよりもかなり鋭い金属音が部屋に鳴り響いた。 「うわっ、出た!」  優衣の目の前に、突如魔物が姿を現す。 「……ハリガネ??」  魔物の姿を見た優衣が小首を傾げる。  その魔物は腕から足から頭まで、細い金属状のハリガネボディだった。 「リッハッハッハッハ! 拙者の相手はオマエか? 完全に子供じゃないかおい」  バトル相手に不満を漏らすハリガネ状の魔物の右手には、これまたハリガネのような長細い銀色の剣が握られている。 「へへん! 子供だと思ってなめてると痛い目みるよん!」  負けず嫌いの優衣は背中のホルダーからピングゴールドの剣を抜いて両手で構えると、ハリガネ魔物をキッと睨み付けた。 「リッハッハ! なるほどなるほど。お嬢ちゃん、なかなか良い構えをするじゃないか。ちゃんと戦士ってわけか。これは失礼した。では、改めてしかと名乗らせてもらおう。拙者の名はハリガネナイト! 〈ハリガネの剣〉を使いし剣士なり!」  魔物は高らかと名乗りながら、目にも止まらない早さで自慢の剣さばきを見せつけた。 「おお、すごい! わたしもそれやる! わたしの名前はスズサカユイ! この可愛らしい剣を使う剣士だよん!」  優衣はハリガネナイトの動きを真似て、ザッザッザとピンクゴールドの剣で見えない敵を切りつけるように素振りをして見せた。 「リッハッハ! 面白い! それじゃ、行くぞキュートな剣士よ!」  そう言うと、ハリガネナイトはもの凄い勢いで優衣に突進した。 「うわっ、っとっと!」  手に持った剣を振って重心を移動させ、器用に敵の突進をかわす優衣。 「リハハ! やるな! リハハ!」  ハリガネナイトはクルンと体を反転させて優衣の方を向きながら、始まったばかりの戦闘を楽しむかのように笑い声を上げた。
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