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「ささみ、危ない!!」
直樹が助けに入ろうとするも一歩及ばず、母ドラゴンの強烈な一撃をくらったささみは、「にゃにゃーん!!」と悲鳴を上げながら思いきり部屋の壁まで吹き飛ばされてしまう。
優衣と歩斗が見事に宝のカギをゲットしたものの、残された最後のバトル部屋では直樹が絶体絶命のピンチに陥っていた。
対戦相手は〈ミニミニドラゴン大家族〉。
母ドラゴンと父ドラゴン、そして子供ドラゴンたちというパーティー編成の敵。
その名の通り、体はミニミニサイズで、一番大きい父ドラゴンですら猫のささみより一回り大きい程度だった。
しかし、さすがドラゴンと言うべきか、そのサイズにして凄まじい戦闘力。
その上、家族というだけあって連携が取れまくっており、ささみのひっかき攻撃と直樹の魔法で何とか応戦していたふたりは隙を突かれ、ささみがもろに攻撃を食らう結果となってしまった。
「おい! ささみになんてことするんだよ!!」
怒りをあらわにする直樹。
「うちだってね、家計のやりくりが大変なのさ! だから悪いけど、勝たせて貰うよ!」
母ドラゴンも負けじと言い返す。
「そーだそーだ!」
「バトル中なのに何いってんだよー!」
子供ドラゴンたちが舌戦に加勢する。
「ぐ……ぐぐぐ……」
窮地に立たされた直樹。
さっきまで何とか応戦してたと言っても、攻撃の要はなんだかんだ言ってささみのひっかき攻撃であり、直樹の魔法はあくまでもそのサポート役程度に過ぎなかった。
仮に相手が単体であれば、ヒットアンドアウェイ戦法など何かしら対抗手段はあったかも知れないが、大家族となると、とにかく隙がまったく見当たらない。
母を攻撃すれば父と子に背後から襲われ、父を狙えば母と子から隙を狙われる……という鉄壁のフォーメーション。
「くそぉ……万事休すか……」
諦めかけた直樹の脳裏に、子どもたちの顔が浮かんでくる。
……いかんいかん!
アイツらもこの壁の向こうで頑張って戦ってるはずなのに、父親の俺がそう簡単に諦めてどうする!
……と、直樹はポブロトから貰った布袋の中に手を入れ、何か無いか何か無いか、とバトルをひっくり返せるような起死回生のアイテムを必死に探す。
「ねえママ、パパ。ボクたちでやっちゃっていい?」
「うん、やりたいやりたい!」
「しょうがないなぁ……まあ、経験値になるしな」
「そうね。それじゃ、コテンパンにしちゃいなさい!」
「うん!!
ミニミニドラゴンの家族会議の末、トドメは子ども達が刺すことに決まり、本当にミニミニな子供ドラゴンたちが舌なめずりしながら直樹の元へと近づいて来る。
「やばいやばいやばい! あー、何かないかなんか無いか……おっ! こ、これは……!?」
直樹が取りだしたのは白銀に輝くドデカいリング。
指はもちろん、腕輪にしても太すぎる大きさで……
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