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第40話 鍵と鍵穴の魔法陣
「騙されたー!!」
暗い塔の1階に歩斗の嘆きがこだまする。
ミイラ取りがミイラになるとはまさにこのこと。
閉じた扉を押しても引いても蹴っても撫でても、1ミリも動かない。
「こうなったら……」
歩斗は背中のホルダーから弓と矢を取り、試しに扉に向かって一発撃ってみたものの……カツン、と乾いた音がするだけで矢はポトリと虚しく落ちた。
「どうすりゃ良いんだよー!」
「……アユト!?」
「そうだよ! ……えっ!?」
突然、扉越しに自分の名前が呼ばれて焦る歩斗。
しかもその声は……。
「ユセリ……?」
「そーだよ! って、そんな所で何してるの??」
「こっちが聞きたいよ! ユセリこそなんで??」
「ボブスライムちゃんが私のとこにやって来たんだよ。カオリさん……アユトのママが大変だって」
「えっ、マジ!?」
確かに、歩斗はふんわりボブスライムについて母から聞いたことがあった。
ってことは、一緒に居る時に何か起きたということだろうか……と考えてる途中で、歩斗の頭に別の問題がよぎった。
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