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薄茶色地に金の装飾が施されてるデザインと良い、箱上部が丸みを帯びてる形状と良い、どこからどう見ても宝箱だった。
むしろ、これが宝箱じゃないとしたらクレームを付けたいぐらい宝箱感丸出しの宝箱。
とはいえ、今さらそこまで言うのは悔しいという謎の父プライドにより直樹は一言、
「ああ、そういや宝箱っぽいな」
と呟くだけに留めた。
「……って、それより、お前たちなんでこんな森の中でピンポイントに宝箱なんて見つけられたんだ? ライトも持って行かなかったのに──」
そう言いかけて、しまったと直樹は思った。
それはもう、年齢による目の性能差が如実に表れた結果に他ならないと。
ただ、子どもたちの興味はもう別の所に移動してしまっていた。
「ささみの後を追いかけて来ただけだよ!」
「そうそう。ささみ追っかけてたらこれ見つけてさ。めっちゃ気になるじゃんこれ! ねえパパ、開けて開けて!」
いや、肝心のささみの姿が見当たらないんだけど……と、直樹は苦笑い。
コイツら、完全に"ささみを心配して追いかける"より"宝箱を開ける"を優先してやがる。
子どもってヤツはつくづく残酷な生き物だぜ……なんて思いつつ、直樹自身も宝箱の中身が気にならないわけでは無かった。
すまん、ささみ!
開けたらすぐに探してやるから、あんまり遠くに行かないでその辺で待っててくれ!
……と、可愛いペットに対して自分勝手な注文を付けつつ、直樹は手に持っていた懐中電灯代わりの携帯を一旦ポケットの中にしまい、宝箱にそっと手を掛けた。
「よし、開けるぞ!」
「うん!」
「財宝こい!」
優衣と歩斗は直樹の両脇に陣取り、箱に向かって熱視線を送っていた。
「行くぞ……そら!」
直樹は、想像してたより少し重たかった宝箱のフタを力を込めて持ち上げる。
フタはある程度の角度まで開くと、ガタッという音とともに自然と向こう側に倒れた。
「さあ、中身はなんだ……」
直樹が宝箱の中を覗き込んだその時。
「うわっ!!!」
中から何かが飛び出してきて、直樹のお腹の辺りにぶつかった。
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