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「そっかぁ。なんでママさんが下の階に落ちちゃったのかは分からないけど、下に行くための階段が見つからないってことは、地面の方の魔法陣鍵がそのスイッチになってるっぽいね」
「スイッチ? あの魔法陣鍵ってやつを開ければ階段が出てくる的な??」
扉の前に戻ってきた歩斗が、その向こうに居るユセリに向かって聞き返す。
結局、話を聞いたところによると香織は歩斗より先にこの部屋に閉じ込められ、暗がりをうろついてると穴に落ちてしまい、恐らく地下1階と思しき場所にいるようだった。
ユセリによると、それは何らかのトラップらしいとのこと。
誰が何のために仕掛けたのか、まではさすがに分からず。
「そうそう! やるじゃん歩斗」
「へへへっ。そんじゃ、まずこのドアの魔法陣鍵を開けてから──」
「えっ、なに言ってんの? とにかくママの方が先でしょが!」
「そ、そっか」
「うん。私を頼ってくれるのは嬉しいけど、こんな怪しすぎる塔の地下で独りぼっちなんて不安でしょうがないはずだよ」
ユセリの言葉に対し、歩斗は「いや、そんな感じはしないけど……」とつい口走ってしまった。
「それは歩斗を不安にさせないようにしてるだけだから!」
「あー、そういうやつ」
「良いから、とにかく鍵の模様が入った魔法陣を探して!」
「お、おう!」
歩斗はユセリに急かされ、まず香織に現状をざっくりした説明した後、今まで以上に目を大きく見開き、顔を下に向けて地面を重点的にチェックし始めた。
集中力が増したおかげか、成果は思いのほか早く出る。
「あった! 真ん中に鍵の形が描いてあるやつ!!」
歩斗が立ち止まったのは2つ目の魔法陣から数歩ばかり離れた場所。
その魔法陣には今までの鍵穴形とは違い、黒丸に縦棒、その縦棒に短い横棒が2つという一目で“鍵”と分かる模様が描かれていた。
「それそれ! 歩斗ナイス!!」
「でへへ、それほどでも」
「照れるのはあとで! 早く〈魔法陣鍵ミッション〉に挑戦して!!」
「おう! ……って、なにそれ?」
歩斗がキョトンとなってしまうのも無理は無い。
そもそも、魔法陣鍵が鍵と鍵穴の2組で構成されているとして、どうやって鍵を鍵穴に差し込むのかについてはまったく聞いて無かったのだ。
「うん、緊急事態だから簡単に説明するよ。魔法陣鍵を解くためには、鍵の方の魔法陣に設定されてる難易度の魔法陣鍵ミッションをクリアしなきゃいけないの。ってことでとにかく鍵の模様に触れてみて!」
「お、おっけー」
ユセリに言われるがまま、歩斗は恐る恐る魔法陣の真ん中に手を伸ばした。
そして、指先が鍵の模様に触れた瞬間。
ボワッ!
と煙が出て、魔法陣の下に文字が浮かび上がってきた。
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