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「見えた?」
「うん。えっと……『魔物10体討伐(難易度E)』だって。どゆこと??」
小首を傾げる歩斗とは正反対に、ユセリの声は明るかった。
「それなら大丈夫! 歩斗ならいけるいける!!」
「よっしゃ! ……って、なんだよも~。まだ何も分からないよ~。魔物10体倒せってこと? ここで??」
「半分正解。ねえ、ちゃんと召喚チョーカー付けてる?」
「……うわっ、しまった!」
「うそっ、忘れてきちゃった!?」
「ううん、せっかく着けてきたんだからもっと早く使って一緒に魔法陣探して貰えばよかったなぁって」
えへへ、と歩斗は誰も無い部屋の中で照れくさそうに頭をかいた。
「もう、焦らせないでよ! ねえ、その文字の他にも何か書いてない?
「これ以外に? ……あっ、あった! なんだこれ? ヤバワピノシケトメ──」
「うん、そんじゃその文字を最初から最後まで読んでからもう一度鍵のマークをタッチしてみて」
「りょーかーい。えっと……ヤバワピノシケトメリュベケケサ」
歩斗は、言われたとおり意味不明な文字列を読み上げてから指で鍵マークを触れてみた。
すると……。
「うわっ……!」
魔法陣がキラキラと輝きだし、そこから溢れ出た無数の光が歩斗の体に押し寄せる。
「な、なにこれヤバッ──」
あまりの眩しさに思わず目を瞑る歩斗。
その直後、フワッと体が浮くような感覚に襲われたかと思うと、今度は全身に風が吹き付けてくるような感触が──。
「えっ……なにこれ!?」
瞼を開けて目に飛び込んできたのは、真っ青な空に若草色の草原。
そして10体の……魔物!
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