第44話 進撃の毒魔物軍団

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「くそぉ!」  てっきりスララスがやられてしまったと思った歩斗は、回復させるためその背中に向かって矢を放とうとした……のだが、すんでの所で重要なポイントに気付く。  そう、スララスの体からダメージを表す数字煙が出ていないのだ。 「イムイムゥ……えイムッ!!」  力強いかけ声に合わせてスララスの体がボヨンと膨らみ、毒ツバメ魔物の体が思いきりはじけ飛んだ。  そして、その後ろから突進して来ていた魔物軍団の群れに向かっていき、ヒョロッとした細長い魔物の体と激突。  図らずもカウンターアタックとなり、『24』の赤い数字煙が出ると細長い魔物の体はスーッと消え、代わりに宝箱が出現した。 「よっしゃ! スララスやるぅ!!」 「えへへイム~。たまたま上手く行っちゃったイムぅ~!」  スラハイタッチをする歩斗とスララス、その後ろの方から「お見事~!!」とケリッツの声が飛ぶ。  ……が、歩斗が何かに気付き、「あっ!!」と叫んだ。 「イムゥ?」  と不思議がるスララスの体から紫色の数字煙『1』がボッと出た。  毒ツバメの奴が接触した瞬間、毒攻撃を仕掛けていたのだ。 「やばっ」  歩斗が呟くのと同時にまたもや『1』の紫数字。  スララスも「イムイムゥ……」と不安げな顔で体を震わし始める。  このペースでHPが減り続ければ、スララスがやられてしまうのは時間の問題。  とにかくこれで……歩斗が回復の弓矢を構えようとした途端、矢よりも早く後ろから声が飛んできた。 「スラちゃん、それ! ハートの草を食べて!!」  ケリッツのアドバイスに従い、スララスはちょうど歩斗の足下に生えていた毒消し草へと倒れ込み、そのままモグモグ食べた。  すると、毒多島産の毒消し草の品質を証明するかのように、スララスの体から出続けていた紫色の数字煙がピタッと止んだ。 「良かった~。ケリッツありがとう!」 「ありがとうございますイム!!」  歩斗たちは胸をなで下ろしながら、背後のケリッツに向かって感謝の言葉を投げかけた。 一方、仲間がやられ一瞬動きを止める毒魔物軍団だったが、その中から真っ先に動き出し、空中に飛び上がったのはボヨヨン攻撃でやられたばかりの毒ツバメ魔物。 「チッ、毒消し草を使ったのかロウ。だったらそんな暇もないぐらい攻撃するのみだロウ! 行け行け行けロウ!!」  仲間たちの士気を高めるように叫ぶと、鋭いクチバシをキュッと閉じて歩斗たちの方に向けた。
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