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「やったぜスララス!」
「はイム!!」
喜ぶスララスの体から、紫色の数字煙『1』が飛び出す。
「あっ、それ!」
地面にハート型の草を見つけた歩斗は急いでそれを摘み取り、スララスの口に直接ねじ込んだ。
「もぐもぐイムゥ……治ったイムゥ! アユトさん、ありがとうイムぅ!!」
「ううん、こっちこそだよ! スララスのおかげで3体も魔物を倒せたんだから──」
お互いをたたえ合い、スラハイタッチしようとする寸前。
「うわっ!!」
何者かに背中から体当たりされた歩斗の体が空中に跳ね上がり、山なりに飛んでそのまま地面に激突。
幸い、他よりも多めに生えていた草が衝撃を吸収してくれたものの、瀕死を表す赤い数字煙『17』が出てしまった。
「い、いってぇ……いきなり後ろからタックルとかずりぃ~! ってか、スララスは!?」
仰向けに倒れていた歩斗は何とか上半身を起こし、離ればなれになってしまった相棒の方に目をやった。
「イ……イムイムゥ……」
スララスのか細い声が薄ら聞こえて来る。
それもそのはず。
毒魔物軍団のうち毒スライム、毒キャベツ、毒ヘビ、毒円盤の4体が地上でスララスの四方を囲み、空飛ぶ毒ツバメと毒鳥の魔物が上空から睨みを利かせているのだ。
「やばっ……ヤバすぎる」
スララスを取り囲む魔物たちの動きを見つめたまま、歩斗はゆっくり立ち上がった。
なんとかしないと相棒がやられてしまう……が、歩斗の武器は回復の弓矢のみ。
6体の敵に一斉攻撃されたら回復してる暇なんて無いままやられてしまうのは目に見えている。
追い詰められた歩斗とスララスにダメ押しするかの如く、上空を旋回していた毒ツバメが大声で叫んだ。
「よくも仲間を倒してくれたなロウ! もう油断はしないロウ。者ども、攻撃開始!!」
奴が軍団のリーダー的存在なのか、その声をきっかけにして地上の4体、そして空中を舞い続けていた毒ツバメと鳥の魔物がスララスめがけて一斉に動き出した。
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