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第46話 上質な弓と毒爆の矢
6体の毒魔物たちがスララスに襲いかかり、いよいよ万事休すかと思われたその時。
どこからともなく賑やかな音が流れて来た。
「なんだロウ!?」
スララスめがけ、翼を畳み急降下していた魔物軍団のリーダー毒ツバメが空中で急ブレーキをかけると、それに同調するように他の5体も動きを止めた。
ズッチャ、ズッチャ。
シャン、シャン、シャン♪
「も、もしかして……援軍かロウ!?」
謎の音楽がどんどん大きくなり、焦りを募らせる毒ツバメ。
もちろん、魔法陣の力で転移してきた歩斗たちに援軍が来るあてなど無い。
仮に何らかの方法でユセリがこっちに来る事が出来たとしても、賑やかな音をかき鳴らす必要など無い……というか、歩斗は既にその音の主に勘づいていた。
この島に来てからスララスは4体の魔物を倒しており、そろそろなんじゃないかと思っていたところで……。
ズッチャチャ、ズチャチャ。
ギュイン、ギュイン、ギュイイイイン♪
「スララスさんのレベルが13にアップしま──」
「やっぱりそうだ!!」
そう、陽気な音楽と共にやって来るといったらレベルアップ隊。
敵に囲まれたスララスから少し離れた場所に歩斗、さらにその歩斗から見て右手の方向に姿を現した。
そのリーダーのハイテンションな祝福の言葉に、予想が的中して喜ぶ歩斗の声が重なった。
「ちっ、邪魔しやがってロウ!」
レベルアップ隊の存在を知ってか知らずか、苛立ちを露わにする毒ツバメ。
小さな体とは言え、レベルアップ隊は4人構成。
もし援軍だと考えれば、6対6と数の上では互角になる。
「者ども、そいつをやるのはあとだロウ! まずはアイツらから叩くロウ!」
毒ツバメはスララスの頭上で翼を羽ばたかせながら、クチバシをレベルアップ隊の方へと向けた。
忠実な5体の魔物たちは迷わずその指示に従い、体の向きをリーダーのクチバシに合わせる。
「ひぃ! なんたること!!」
焦るレベルアップ隊のリーダー……には悪いが、歩斗はこれを起死回生のチャンスと捉えていた。
魔物軍団の視線が揃ってレベルアップ隊の方に向いている隙に、歩斗はゆっくりと左サイドからスララスの方へ歩き出した。
「そーっと……そーっと……うわっ」
敵の様子ばかりに気を取られていた歩斗は足下に何かがあるのに気付かず、つまずきそうになるのをグッと堪えた。
「なんだよもう……」
愚痴りながら足下に視線を落とす。
するとそこにあったのは……宝箱!
「あっ、もしかして最初にスララスが倒した細長い奴の……よっしゃ!」
歩斗は小さくガッツポーズしながら、そっと宝箱を開けてみた。
中に入っていたのはなんと……。
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