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「す、すげぇ!!」
毒ツバメが力なく地面に落下するのを見ながら、歩斗は興奮気味に叫んだ。
「アユトさん、すごイム!!」
その場に到着したスララスも歩斗の技術、そして新武器の威力を称えた。
「えへへ、それほどでも~」
顔をふにゃりとさせながら照れくさがる歩斗。
初めて自分の手で敵にダメージを与えることができた喜びに浸っているのとは対照的に、リーダーを撃ち落とされた魔物軍団の面々は加速度的に焦りの色が濃くしていく。
「これ、ひょっとして大チャンス!?」
「イムイムゥ!!」
「よっしゃ、そんじゃどんどんいくよ!」
自信に満ちた表情で弓を構える歩斗。
狙いを定めたのは……毒キャベツの魔物。
「えいっ!」
パンッ!
歩斗の放った矢は、またもや破裂音を鳴り響かせた……のだが。
「えっ!?」
「イムッ!?」
揃って驚きの声を上げる歩斗とスララス。
矢が命中したのは狙いを定めた毒キャベツでは無く、またもや毒ツバメの魔物!
なんと、毒キャベツに矢が当たる寸前に体を投げ出し、その身で受け止めのだ。
ダメージ『35』の数字煙が立ち上る。
驚くべきはその煙の色。
2度の攻撃あわせて70以上のダメージを負ったにも関わらず、瀕死を表す赤では無く通常の白。
「さ、さすが敵のリーダー、恐るべし……!」
「べしイムぅ……!」
イケイケだった歩斗の表情が曇りはじめ、スララスもブルブルと体を震わせだした。
毒属性の相手に対して絶大な威力を誇る毒爆の矢。
それを手にして勝利を手中に収めたかに思えたが、底知れぬ強さを見せる毒魔物軍団のリーダー毒ツバメ。
……とは言え、元から強いスララスがさらにレベルアップ。
それに加えてちゃんと敵を攻撃できる武器を手にした歩斗。
敵の数は当初の10体から6体まで減少。
魔物たちのほとんどは毒爆の矢に恐れをなして動きを止めているのだが……。
「ま……負けてたまるかロウ!!」
唯一、リーダー毒ツバメの瞳だけはまだギラギラと輝き、2発も受けた毒爆の矢に臆することなく紫色の鋭いクチバシを歩斗たちに向けた。
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