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なるほどね。
妻の香織は自分と同じくゲーム好きなので、スマホで新しく始めたアプリの話でもしてるのかな、なんて勝手に納得しつつ、直樹はワックスでピカピカに輝くフローリングの床を踏みしめた。
廊下に上がってすぐ右手に2階へ上がる階段。
左手にある小窓からは、ついさっき直樹が駐車したばかりの青い車の横顔が、家の中の明かりに照らされていた。
36歳にして買ったマイホーム。
直樹にとって作りたてほやほやの新居から漂う香りは、幸せと同時に35年ローンという名の重責も含んでいたが、可愛い妻そして2人の子供と過ごすかけがえのない生活を考えれば、トレードオフどころか黒字も黒字、大黒字だ。
「──なんか動いたような気がしたから最初は猫かなぁぐらいに思ってたんだけど、よく見てみるとどう考えてもスライムなの。っていうか、そもそもウチってこんな庭だったっけ……って、ちょっと聞いてる?」
「……えっ、あっ、ごめんごめん。スライムに出くわしたんだよな。で、倒せたの?」
直樹は廊下を歩きながら、完全にゲームの話だと思いながら軽く返事をした。
それよりも、とにかく廊下の先にあるリビングにたどり着き、ソファに座って落ち着きたかった。
直樹がマイホームの中でも一番気に入っている大きなリビングに合うように、色々な店に足を運び、実際に座り心地を確かめながら選んだ極上のソファに。
「倒すってどうやって? 剣とか槍とかも無いのに!」
香織はボーダー柄のエプロンのポケットに両手を突っ込み、頬をプーッと膨らませた。
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